JR東海は既に昨年12月、駅などの工事実施計画を認可申請する際、開業時期を「2027年以降」に変更していたが、2023年3月29日、国土交通省の有識者会議において、2027年の開業は「実現できる状況にはなく、新たな開業時期についても見通すことができない」と述べた。静岡工区について、当初10年の工事期間を想定、南アルプストンネル山梨工区、長野工区の実績を踏まえると工期短縮は厳しいとした。このため「新たな開業時期は34年以降になることが見込まれる」と報道された。
2027年開業が無理であることは、2020年7月にJR東海と静岡県知事のトップ会談が物別れに終わった時点で既に分かっていたこと。その時にJR東海は静岡工区について、トンネルを順調に(月進100mで)掘れれば7年と言っていたわけだけど、大鹿村のトンネル工事の状況を見れば、とてもそんなペースでは掘れていないことも明白だった。つまり当時から、静岡工区が着工できていない問題だけでなく、各地の工事の遅れている状況から見ても、2027年が無理であることは、とっくに明らかだった。
ちなみに大鹿村の南アルプストンネル長野工区のトンネル掘削については、着工当初の計画工期が延びて、2021年12月の連絡協議会において、2026年11月と変更されていたが、それも無理ではないかとの質問に対し、3月のリニア連絡協議会で「現状では厳しい」と回答があった。「想定以上に地質が悪い」と言うが、それも計画当初からさんざん指摘されていたこと。
飯田市では駅と周辺整備のために多くの人たち、事業所が立ち退きを余儀なくされたが、駅の工事はどうなるのか? 駅はできても、開業はずっと先という状態が続くことになるのか? 飯田市長は開業前に一部の供用開始を検討する考えとのこと。
【追記】4月4日にリニア工事の今後の発注見通しが新たにJR東海から公表され、そこでは山梨県駅と飯田の「座光寺高架橋」が工期80か月、70か月とされ、完成が2031年になる見通しとされていた。
4月2日、大井川の水問題や南アルプスの生態系の問題等で、着工を認めていなかった静岡県の川勝知事が突如辞任を表明した。これまで開業遅れは静岡のせいとマスコミではさんざん言われてきたので、推進派はこれで工事が進むと思っているようだけれども、むしろ各地で課題山積で、遅れているのは静岡だけでないことがもっと明らかになるのでは?
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